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Netflixさんが「筋書きのないドラマ」と言うなら、脚本家がWBCを「筋書き目線」で見てみた。


脚本家プロレスの田中悠平です!2026年も 脚本家プロレスの開催が決定しました!

今後、開催に向けていろいろな告知コンテンツを発信していこうと思っていますので、どうぞよろしくお願いします。


さて、最近の日本のスポーツ界をにぎわせているのは、何といっても WBC(ワールド・ベースボール・クラシック)。私も毎試合、楽しく観戦しています。実は私は 大谷翔平選手と同い年で、誕生日も一日違い。「常に大谷さんの24時間先を生きている」という自己紹介ネタも、もう恐縮の域をとっくに超えてきています。ホームラン打ちすぎでしょ。翔平と悠平の差にはあえて触れず先に進めますが。



Netflixさんが仰っている「筋書きのないドラマ」。今回の大会からWBCは 地上波ではなくNetflixでの独占配信となりました。「ついにNetflixもスポーツに参入するのか!」と、個人的にもかなりワクワクしていたのですが、その期待をさらに高めてくれたのがこちらのCMです。


『2026 ワールドベースボールクラシック』CM


CMの中で語られるのが「主役はまだわからない」「筋書きのないドラマ」という言葉。これまで数々の面白いコンテンツを作ってきた Netflixさんが言うからこそ、重みがあるんですよね。誰かが用意しているわけではない。どうなるかわからない今の積み重ねが、物語の先を作っていく。そりゃ面白いですよね。


でも同時に、自分で物語を作る立場としては、そこから何か学びたい。そして、いつか超えたい。そんな気持ちにもなってしまうのです。


そこで今回は、Netflixさんが「筋書きのないドラマ」と言うなら、脚本家がWBCを「筋書き目線」で見てみよう。というテーマで書いてみたいと思います。



(1)シナリオ目線で読み解くWBCの名場面



【キャラクター観点】


2006年大会 イチロー選手

第1回大会。日本代表の中心選手だったイチロー選手。しかし第2ラウンドで韓国に敗れた直後、ベンチで 大声をあげて悔しがる姿がカメラに映りました。悔しさにあふれるシーン。ですが、このシーンは後に何度もメディアで取り上げられることになります。


脚本の世界では、魅力的なキャラクターの条件として「憧れ性」と「共通性」があると言われています。イチローは誰もが知る天才的な野球選手。それは圧倒的な「憧れ」です。しかしその一方で困難に直面する、感情を爆発させる、悔しさを露わにする、そんな姿を見たとき、私たちはそこに 自分と重なる「共通性」を見つけます。この瞬間から、イチローは「楽しませてくれるスター選手」から「自分が応援したい選手」へと変わったのだと思います。


【構成観点】WBCの王道展開

WBCは短期決戦。しかもプレシーズン開催のため、調子が上がらない選手も出てしまう大会です。そのため、毎大会語り継がれるのが「不振の選手が決める劇的な一打」です。


「生き返れ福留」

第1回大会(2006年)。日本を代表する打者 福留孝介選手。しかし二次リーグまでの成績は19打数2安打打率 .105。王監督は「調子のいい者を優先して使う」として福留選手をスタメンから外します。しかし福留選手には同時にこう伝えていました。「大事なところでいくからな」。そして迎えた準決勝・韓国戦。7回、チャンスで代打・福留。実況の「生き返れ福留!」という絶叫とともに放たれたツーランホームラン。まるで脚本があるかのような展開でした。WBCにおいて言葉は台詞になるのです。



「村上が!村上が!ム・ラ・カ・ミ・が!」

2023年大会でも同じようにドラマが生まれました。前年に三冠王を獲得した村上宗隆選手。しかし大会序盤は深刻な不振。そして迎えた準決勝。最後に放ったのはサヨナラタイムリー。やはり苦しんだ選手の会心の一打というのは、定番でありながら何度見ても心を動かされるものです。



ちなみに村上選手のコメントも印象的でした。「誰もこいつら(相手チーム)は俺のことを知らない。俺もお前たちのことを知らない。だから俺は自分のスイングに集中するだけだ」。極限状態でのシンプルな覚悟。これもまた、主人公の言葉のようでした。


(2)今大会で見たいシーン・展開


選手はボールから目を離してはいけない。脚本家はボールから目を離さないといけない?



ここまでキャラクターと構成という脚本の視点からWBCの名場面を振り返ってきました。(すみません、名場面の映像を見過ぎて、だんだん ただのファンの記事みたいになってきましたが笑)ですが改めて思うのは、選手たちは想像もできない努力を重ね、とてつもないプレッシャーの中でプレーされているということ。だからこそ簡単に言えるものではないのが大前提ですが……。それでも、脚本書きとして今回の大会で注目したいシーンがあります。それは「オフ・ザ・ボール」です。


と言いますのも、先日こんなことがありまして。(話がそれるし別ネタだから、、、と思いつつも言わなければ気が済まず、お付き合いください) 私は ヴィッセル神戸のファンなのですが、最近こんな出来事がありました。


今シーズンから日本代表でも活躍した 乾貴士選手が加入。しかし開幕からスタメンでは出られず、ようやくスタメン出場した試合がありました。ところが前半のうちにチームに退場者が出てしまいます。守備要員を入れるため、その試合でやっとチャンスを得た乾選手が途中交代になってしまいました。スター選手です。スター選手なら怒ってもおかしくない状況です。しかし乾選手は不満を見せることなく、チームメイトを鼓舞しながらベンチへ下がりました。


「乾!応援してるぞ!」開幕から数試合で、私はすっかり心を奪われていました。これは「結果」ではない部分で、見ている側の「想定」を裏切ってくれたことによる感動だったのだと思います。


WBCのような大きな大会では、おそらく「結果」が大きく取り上げられます。選手たちがそこにこだわり、全力でプレーされている以上、それが大切なことに変わりはありません。ですが「ドラマ」はきっと、プレーそのものだけではなく、「オフ・ザ・ボール」に隠れているのではないでしょうか。


ベンチでの表情、仲間への声かけ、打席に入るまでの姿。そんな何気ない瞬間にも、物語の種はある気がするのです。そうなると、困難に直面しているシーンからも目が離せません。「これは何かの伏線なのでは?」と思ってしまうからです。


プレーする選手は「ボールから目を離すな」と言われます。ですが脚本家は、むしろボールから目を離さなくてはならないのかもしれません。


どんな苦難も、いつか会心の一打につながると信じて、侍ジャパンを応援しましょう。そして、脚本家プロレスの現場でもぜひWBCを語り合いましょう。ご来場をお待ちしています!


田中悠平

 
 
 

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