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作品の印象を決める!名作のラストを飾るセリフとは


脚本家プロレスに新参戦する齊藤夢月です!


バトンを受け継ぎ、記事を書かせていただきます。


さて、どんな記事を書こうかと色々考えていたのですが、この記事では「セリフ」について取り上げてみたいと思います。


というのも...


「脚本において一番大切なのはセリフ」と言われるほど、セリフは大事です。


ちなみに脚本は、以下の3つの要素で構成されています。

・柱(場所と時間を示す文)

・ト書き(情景やキャラクターの動作を示す文)

・セリフ


もちろん、脚本を書き始める前に、作品のテーマや世界観、キャラクターなど、考えることはたくさんあるのですが、それらを脚本に落とし込むとなったときには、上記の3つの要素に集約されます。


中でも特に大事だと言われるのは「セリフ」。


そこで、本日の記事では、筆者の独断と偏見によって選ばれた名作に出てくるセリフを取り上げ、なぜそのセリフがすごいのかについて解説してみようと思います!



「君の名は」のセリフがアツい!


言わずもがなの名作、「君の名は」。


この映画のラストでは、瀧くんと三葉がお互いを探して再会します。


さて、ここで少し想像してみてください。

もしあなたが脚本家だったら、瀧くんと三葉が再会する場面で、どのようなセリフをあてがうでしょうか?



Thinking time スターティン!!!


いかがですか?


わたしだったら、お互いの顔を見た瞬間に、お互いの存在を思い出し、「瀧くん!」「三葉!」とお互いの名前を呼ばせてしまいそうな気がします。


でも、実際の作品では、ここで2人はお互いの顔を見てもお互いの存在を思い出すわけではなく、でも自分がずっと探していた特別な存在だという確信に近い直感は働いていて...


そして2人が放つ言葉はー「君の名前は?」


作品のタイトルにもなっているので、このセリフのすごさを今まで無意識に感じてはいたものの、意識的に感じたことはありませんでした。


しかし「君の名は」を繰り返し視聴していたある日、ふと「君の名前は?」といういちばん最後のセリフのすごさを再認識したのでした。


「君の名は」は、「記憶の風化」がテーマのひとつにあると考えています。

時が経つにつれて、まるで夢から覚めた直後はハッキリと覚えていた夢の内容も、だんだん薄れていってしまう...

でも、どんなに時が経とうと、記憶が薄れようと、特別な人の存在や特別な感情というのは、心の奥底で眠っているはず。たとえ思い出せなくても。


だからこそ、最後のシーンでは、すぐに瀧くんと三葉がお互いの存在を思い出すのではなく、でも心の奥底で眠っていた記憶にくすぐられて、電車から降りてお互いを探す。そして再会できたときに、「君の名前は?」と投げかける。


映画のタイトルにも通ずる「君の名前は?」というラストのセリフは、作品のテーマが色濃く反映された、素晴らしいセリフなのです!(←新海誠監督の大ファンというバイアスを抜きにしても!笑)



「Past Lives」のセリフがエモい!


「Past Lives(パスト ライブス/再会)」は、2024年度のアカデミー賞にて「作品賞」と「脚本賞」の2部門にノミネートされた、セリーヌ・ソン監督による大人のラブストーリーです。


韓国人の少年ヘソンと少女ノラが、両想いだったにもかかわらず、女の子側が一家でアメリカに移住することになり、離れ離れになってしまうーそして24年ぶりにニューヨークで再会する、というお話。


ネタバレになりますが、ヘソンがノラに会いにニューヨークを訪れたころには、すでにノラにはアメリカ人の夫がいたのです。

とはいっても、この作品は不倫モノでも略奪モノでもないので、ヘソンとノラは再会したからといって、2人はただただ会話するだけ(←つまらないと思ったそこのあなた!騙されたと思って一度観てみてください!そして本当に騙されたらすみません!)。


つまり、この映画は、結ばれない男女のラブストーリーです。

そう、2人は結ばれないのです。


ノラに会うためだけにはるばる韓国からアメリカを訪れたヘソンが一体なにを思っていたのかは神(とヘソン)のみぞ知るところですが、きっとヘソンは心のどこかで、ノラと一緒になる未来を夢みていたはず...


しかしノラにはすでに夫がいる手前、再会しても、2人の関係性が進展することはありませんでした。


さて、前置きが長くなりましたが、この映画のラストでは、ノラが韓国へ戻るために空港行きのタクシーに乗り込むヘソンを見送るシーンがあります。


タクシーを待つ間、2人の間には沈黙が流れます。


そしてタクシーが到着したとき、2人はハグを交わし、ヘソンはタクシーに乗り込むのですが、このときヘソンはノラにとある言葉を投げかけます。


さて、もしあなたが脚本家だったら、ヘソンにどのようなセリフをあてがうでしょうか?



ここで再びThinking time スターティン!!!



いかがですか?


わたしだったら、というかあまり深く考えずにセリフを書いてしまったとしたら、「夫によろしくね」とか「会えてよかった」とか「元気でね」とか、そういうセリフを書いてしまうと思います。


しかし!


ヘソンがここで放った言葉はー「また来世で会おう」


...「Past Lives」は映画館で観たのですが、このセリフに完全にノックアウトされました。


そう、もしわたしがプロレスの試合に参戦してリングの上に立っているプロレスラーだとしたら、そして相手からこのセリフを食らったら、間違いなくリングの上に倒れていたことでしょう。


「また来世で会おう」ってことは、今世ではもう会う気がないってことだよね...?


こんなセリフを言われたら、もうね、夜眠れませんよね。


ということで、「また来世で会おう」というセリフのおかげで、「Past Lives」という映画が「いい映画だった」から「最高の映画だった」に格上げされたのでした。


そして、さらに衝撃だったのは、とある飛行機のなかで「Past Lives」を再視聴したときのこと。


なんと字幕が「また会おう」みたいなフラットな翻訳になっていたのです!!!


「来世」はどこ行った????????????????????


そして気づきました。


「来世」というたった2文字があるかないかで、受け手の印象はこんなにも違うものなのだと...


(残念ながら韓国語がわからないので、韓国語のオリジナルのセリフが「また来世で会おう」なのか、ただの「また会おう」なのかはわかりませんが、「また来世で会おう」であってほしい...!)



たったひとことのセリフで作品の印象が180度変わる


さてさて、自分の好きな作品を語るような記事になってしまいましたが、神は細部に宿ると言われるように、脚本の神はセリフに宿るのかもしれません。


ということで、脚本家として、セリフは適当に書かずに、考えて考えて考え抜いて書くようにしたいな、と改めて思います。


また、とあるプロデューサーの方は、「いろんな作品を手当たり次第に観るよりも、自分のお気に入りの作品を何度も観返すほうがタメになったりする」とおっしゃっていました。


自分のお気に入りの作品は、すでに観返さなくても熟知しているような気になってしまいがちですが、映画というのは、時を経て観返してみると、新たな発見があったりするもの。


ということで、ぜひみなさんもお気に入りの作品を観返してみて、「なんでこのシーンが好きなのか?」「なんでこのセリフがこんなにも刺さるんだろう?」と思いを馳せてみてください。


そして、「自分が脚本家だったらこの場面でこのキャラクターにどんなセリフをあてがうだろう?」と考えてみるのも、新しい映画の楽しみかたかもしれません。


少しでも脚本や映画にご関心のあるかたは、ぜひ今年(2026年)5月30日~31日の2日間に渋谷で開催される「脚本家プロレス2026」というイベントに立ち寄ってみてください!(ただいまHPのお申し込みフォームから絶賛イベント参加のお申し込みを受付中です!)


※プロレスといっても実際にプロレスするわけではないのでご安心ください(笑)


ぜひイベントにお越しいただき、みなさんのお気に入りの作品やセリフについてもお聞かせいただければ嬉しいです。ではではっ!!!

 
 
 

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